静岡ボーカル・ボイストレーニングの無料相談に寄せられたお悩みへの回答です。
アレルギー性鼻炎により「鼻水がのどの奥に下りて高音が出せない」というお悩みへの回答です。
なお、無料相談はどなたでも可能。静岡オンラインボイストレーニングお問い合わせより受け付けています。
鼻水がのどの奥に下りて高音が出せない
腹筋力と腹から声を出す、歌唱力アップという3つの理由であおむけに寝転んで歌うというボ
イトレをやっています。しかし、腹に力を入れることができても、鼻水がのどの奥に下りて高音
が出せないことがよくあり、ボイトレがろくにできなくなることがしょっちゅうあります。どう
したらよいでしょうか?ちなみに僕はアレルギー性鼻炎です。
立ってボイストレーニングをして下さい
実際の対処方は二つあり、その内の一つは「医学的な治療を行う」というものです。アレルギー性鼻炎の根本治療、もしくはレーザーなどでの処置を、医師と検討するのが良いと考えます。
しかし、そもそも寝てボイストレーニングをすることの、特別な効果はありません。つまり、立ってボイストレーニングをすれば良い。それが二つ目の回答です。本記事では、その詳細説明を行います。
鼻炎、花粉症、風邪などで悩む方は多いといえます。また、私自身も鼻中隔湾曲症からくる鼻炎をもっていますが、ボイストレーニング上は特に問題はありません。
寝てボイストレーニングの有効性
寝てボイストレーニングは有効ではないと言いましたが、質問者はどこかで有効性を聞いて、取り組むようになったのだと思います。そうすると立てば良いと言われても不安かもしれませんね。
声楽の練習風景などで見たことがあるという方もいらっしゃるように、確かにいまだ広く行われているのが現実です。一般的にその理由は、「腹式呼吸の習得と、そこから発展する発声の習得」であるといわれます。
それでは、なぜ寝ることが腹式呼吸の習得に用いられるかと言いますと、「寝ている時は誰しも腹式呼吸である」という点に基づきます。
腹式呼吸の習得には有効ではない
ところが、寝ている時の腹式呼吸と、歌唱の際に用いる腹式呼吸は別のものですから、参考にするものはありません。
体に起きる変化は同じなのですが、目的が違います。つまり寝ている時は単に呼吸の転換が目的ですが、歌唱の時のそれは「声のコントロール」という明確な意志とバリエーションが必要なのです。
それでも一般的に寝て呼吸が行われるのは、「体の動きを覚え応用するための導入」と言えます。しかし、それすらも有効ではありません。
多くの方はこの時、お腹に手をあてているかと思いますが、良くないことなのです。
なぜ有効ではないか??
正しい腹式呼吸は、適切な方法を用いた結果お腹がそに応じて勝手に動くというものです。お腹が動いたら腹式呼吸は残念ながら成立しません。
試しに息を吐きながら大げさにお腹をしぼませたりふくらませたりしてみて下さい。或いは息を吐かず(止めたまま)にお腹をペコペコするのもわかりやすいでしょう。何の効果もありません。
お腹の正面(腹直筋)というのは、腹式呼吸に要する呼吸筋群の内のたかだか一つでしかなく、大した役割はありませんので、「ただ単に動けばできる」というような性質ではありません。
呼吸とは連動です。
もし手をあてるのなら、下腹部はもちろん、肋骨や胸、首、脇腹、背中など、全てに同時に手をあててチェックすべきです。(実際には無意味です)
或いは直腹筋が運動において役割が大きければ有効かもしれませんが、残念ながらそうではありません。
寝てお腹に手をあてるというのは、そもそもチェック方法として機能しておらず、過程を飛ばして結果だけ見ているようなものです。
そして手をあてることによって、どうしてもお腹の動きに意識が向き、不自然な呼吸となります。
もしあなたが、「呼気を一定に保てる」、「強弱などを自在にコントロールできる」レベルまで習得できたのであれば、問題ありません。
しかしそうでないなら、効果が無いことはご自身がよく分かっているはずです。
正しいトレーニング方法
「スー」と歯の間から息を小さく吐き始め、どんどん息の音を大きくして下さい。
可能な限り小さな音量から大きな音量へ移行します。最小と最大を滑らかに繋ぎます。苦しいと感じるかもしれませんが、これでお望みの体の筋力が鍛えられます。
ある程度できるようになってきたら、音量を変化させないように長く吐いて下さい。
必ず音の大きさを聞き続けてください。
正しいトレーニング補足情報
なお、お腹に手をあてれば、勝手にしぼんでいくのがすぐわかるはずです。それで十分で、もう二度と手をあてる理由はありません。
お腹をしぼませるような動きは決してクセにしてはいけません。
腹式呼吸を使う第一の理由は「声を維持するため」です。
ですから我々はブレストレーニングで一定に聞こえるように維持をします。この時必要なのは音をきく耳です。これは歌唱において実際に考えることと等しいと言え、有効的です。
参考:Idolly静岡ボーカルオーディション合格者、山下瑚永の実際の腹式呼吸トレーニング音源
山下瑚永のこなちょりブログ
ただちに起きてトレーニングをして下さい。寝ることの優位性は一点のみで、それは「人によってはリラックスしやすい」という事のみです。また、それすらも腹式呼吸にはほぼ関係がなく、喉声がきつい方の一部が場合によっては、喉声を使わなくなるかもしれないという、切り口の一つにしか過ぎません。そして少なくとも、あなたはその一部に該当しません。
また、腹式呼吸が習得できない場合、当然質問者のいう「腹から声を出す」というのは実現しにくいといえます。
なお、私の実践するボイストレーニングでは、寝て行うものは一切無いことを申し添えておきます。
補足
概ね本回答になりますが、質問文では”高音が出せない”とあります。
果たして高音に限られるかどうかということで本記事の内容は左右されませんが、もし高音限定の自覚症状ということであれば、また別の要素の関連が考えられます。
この推測は複数考えることができるため、現時点での特定は困難ですが、いずれにしろたとえばアレルギーであるなどという体質的、或いは個人的な理由ではなく、発声における基礎技術の不足にあると思われます。