歌声にシャープさがないんです

歌声にシャープさがない

静岡ボイストレーニングの無料相談に寄せられたお悩みへの回答です。
今回は、当校の生徒さんからの「歌声にシャープさがないんです」というお悩みについて扱います。
※本記事は個人に対する回答として一部に個別性の強い内容を含みます

なお、無料相談はお問い合わせより受け付けています。


Q,歌声にシャープさがないんです

発声の練習も教室ではいつもご指導していただいてるのですが、ICレコーダーなどで録音しながらCDの音源に合わせて、歌い、歌い終えたあと、聴いてみるとどうも声にもたつきがあるというか、シャープさがたりないな・・・と思うことが多々あります。
CDとずれるところもあります。、特に氷室さんとかの曲・・。

これは、発声の練習をひたすらやれば解決するのでしょうか???

A,発声以外にも必要なことがあります

解決方法はシンプルで、大きくは二点です。

一点目は、お気づきの通り「発声自体のこもりを取り除く」ということです。
もっと厳密に言いますと、これは「音を作る」という発声行為そのものよりも、「増幅する」或いは「発音を整える」という、いわゆる調音の範疇に相当します。
つまり口の開き方であるとか、舌の置き方であるということです。
ここでのやり方で、声に不明瞭さが出てしまっているというのがあると考えられます。

さて、二点目は何かといいますと、これはもうご質問の文章にも表れているように「リズム」についてです。
演奏に合わせてきっちりと揃えていくことで、音圧が増して迫力がでます。演奏者自体にも、聴き手にも爽快感が得られる方法です。

口腔や舌、そしてリズムがもたつくことによって、漠然と感じている「シャープさが足りない」という印象になるのです。
その意味では、「シャープさが足りないのではないか」と疑問をもつ感覚は正しいと言え、あとは解消に向けてボイストレーニングをするだけです。

発声におけるこもりについて

細かく言いますと動きの鈍い、つまりチェックする点はいくつかあります。

一つ目は、口唇、つまり口の外側です。
「あいうえお」という母音群を使った運動をしてみると良いでしょう。多くの場合、唇周辺はほとんど可動せず、上下の前歯を隠していると思われます。
歯は自然にみえるのが好ましいです。特に下あごには注意して下さい。
そして、どのくらい上下に開けるか、というのはさして重要ではないのですが、開き方は重要です。口角をあげ、拡声器などの形を浮かべることが良いでしょう。
また、鼻の下が少し伸びるような動きもみられると考えられますが、これも声を不透明にする大きな要因です。

二つ目は、軟口蓋。こちらは口の中です。
無理に「あくびをする」であるとか「太い声を作る」、「響かせる」といった類の考えは不要です。
とにかく軟口蓋がどこで、物理的に上げられるか。本当に上がるのか?といった点に集中を取る方が、効果的と思われます。本当に上がりますか?
あなたがまだできないのか、先生がだまそうとしているのか、どちらでしょうか?

これは、軟口蓋自体に対する認識の薄さを改善するために用いる処置ということです。つまり可動がどうこう以前に、「軟口蓋とは何か」という基本的なところで未消化なものを抱えているということです。
もし、これをきっちりと自分の意志で上げることができれば、暗さが明るさに変わり、声に伸びが出てきます。挑戦する価値はありませんか?

三つ目に舌です。
あなたの場合は、無意識に発言した場合、殆どのケースで舌の動作が緩慢になり、特に左右方向、上下方向への可動が悪くなります。また、やや奥方向への緊張もみられます。
舌先は「脱力して口からすっと差し出した時のよう」に、横幅は細く、縦には分厚くなります。これにより、特に「あえい」の発音が不明瞭になっています。

また、「あ、い、う、え、お」で、それぞれを区別した運動ができないため、非常に似通った形を取ります。
これは、5つの母音の音色に差がつけられない。つまり、言葉が不明瞭だということを意味します。
日本語は母音がたった5つしかありません。ですので、この5つをいかにして、そしてどれだけ区別できるかで、劇的な差が出てきます。

ここまで読めば複雑だと感じるでしょう。一つ、おおまかな視点も必要です。

本件におけるこもり、とりわけ発声においての概要は「口と舌が正しく動かない。そして母音の差が少ない」ということになります。
ですので、どんな練習をすれば良いか、それは簡単です。

「口と舌を正しく動かし、母音の差を作っていく」。まさしくそのものです。

ガイダンス

次のページでは、実際に発音練習をしていく際ののチェック方法を扱います。

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