楽に強い声を出す方法

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静岡ボイストレーニングの無料相談に寄せられたお悩みへの回答です。
声を楽に強くだすためのボイストレーニングについて解説します。「息に声をのせる感覚がつかめません」の補足です。

なお、無料相談はどなたでも可能。静岡オンラインボイストレーニングお問い合わせより受け付けています。

かすれをなくすとは??

安田先生、丁寧なご回答、感激しております。本当にありがとうございました。

おっしゃるとおり、力んでいるのです。「力まずに声を出す」ことができないから、「息が」「
声が」と、こだわってしまっているのですね。私の短い質問からの的確な御分析、感動しました。
なるほど、裏声の練習、やってみます。力まずに歌うということがどのようなことなのか、少し
つかめるような気がします。
「かすれた声から弱く小さくすること」、「喉は楽だが息を止めているという感覚」というのは、
裏声に表声を混ぜる?声帯を閉める?ということなのでしょうか?初歩的な質問で大変恐縮です
が、お時間の取れるときに、もう少しご説明いただけないでしょうか。

お書きいただいたビブラートの練習、続けます!

息によってコントロールします

回答からさせて頂きますと、前回のお答えにありました「かすれない裏声」というのは、確かに声門閉鎖によって作られる声です。そしてこの時「息を止めている感覚になる」というのは、声門閉鎖が起きている際の体の状態が、息を止めている際のそれと物理的に近いためです。また、「喉は楽だが」と付記があるのは、閉鎖や止めることばかりを意識すると殆どの人が力むからです。

この事は質問者にとって非常に重要です。声門の動きはほぼ知覚できないと考えて下さい。つまり声門を閉じるという認識で声を作ろうとすると、「もっと知覚しやすい部分を動かそう」とします。これが質問者の場合の、力みの要因の一つと推察されます。

息にこだわることは良いことなのです。本件では息によって声をコントロールすることを理解して頂きます。最終的に、裏声をそのようにコントロールし訓練することで、正しい発声が身につきます。ミックスボイスなども実現するためには必要不可欠です。
「表声を裏声にまぜる?」という文言もありましたが、現在のお声の状態が正確に分かりませんので、リスクが高いと判断し本件では割愛します。

強く楽な声の正体

ところで強い声はどうやって作られるのでしょうか?

このような質問をすると、殆どの方が「力が強い」や「閉鎖した状態」「こう…息がバーンと…」などと、「強い」「たくましい」「ふんばる」などというキーワードを元に回答します。
しかしこう考えて下さい。強い声というのは「効率の良い声」です。

通常、訓練をしていない方が声を出すと、概ねかすれます。これは声門閉鎖の話でいえば、それが弱い、或いは不完全であるといえます。裏声であればもっと顕著ですので確認してみて下さい。(但し、初期の段階では、裏声はかすれるほうが正しく好ましいといえます)
これは閉じ方が不完全である(もしくは呼気の量が多い)から、門の隙間からすきま風がふいているわけです。極端な例えですが、10の呼気を使って1の音を作っている状態とします。そうすると当然「弱い声」になるわけです。

効率の悪い声の状態

効率の悪い声の状態

そこから声を小さくしていくと、息の量が減っていきます。息の量が減っていくと、声門から漏れる息の量が、まさしく減っていきます。これにより閉鎖は正しく行われやすい状況になっていき、結果的には1の息を吐けば1の音が作られるという状態になります。これが、地声裏声を問わず、かすれない声の状態です。喉周辺は過度に緊張することはありませんので、非常に楽といえます。

比較をします。1の息を使って1の音を作れる方が10の息を使えば、10の音が作れるわけです。しかし、10使って1しか作れない方が10の音を作るためには、100の息が必要です。
これが強いか強くないか、力んで消耗するかしないかの話なのです。

強い声の正体

強い声の正体

ここまでの話を概ね理解できたとすれば、「門の閉じ方を強くする」トレーニングよりもまず、「呼気の量を調整して音を作る」ことが重要であると気づくはずです。そして「門を正しく閉じている」状態を作ることが、「門を正しく、より強く閉じる」ためのトレーニングになるのは明白です。

また、少し難しい話になりますが、門の閉じ方と呼気の強さというのは関連する要素であり、バランスが取れていないと成立しません。つまり閉鎖にしろ呼気にしろ、どちらか一方をケアすれば、もう一方も関連して正しくなります。そしてそれはそのまま逆にいえば、どちらか一方が悪くなれば悪くなると言うことであり、多少の個人差や状況差はありますが、どちらに着目するべきかといえば、既述の理由で「息」に注目するべきなのです。

実践の手順

まず、かすれて良いので楽に裏声を出す。そして次に、それを小さくすれば、かすれがなくなります。

補足

もちろん強い声を実際に出せる用にするためには、様々なトレーニングが必要です。しかし、声の仕組みの大前提として、本件の理解を得ておくことはとても有効です。
最初は単音で、慣れたら音階、そして歌でやってみても良いでしょう。いま強いかどうかではなく、楽な状態でかすれるか、かすれないかです。一つ一つしっかり確実に、コントロールができるようにしましょう。

そしてコントロールができるというのは、確実に自分自身の発声能力として消化しているということです。
風邪や寝不足でかすれる時も、不安になる必要はありません。かすれれば、かすれなくすれば良いだけなのです。

こういったトレーニングをする際にもし力むとしたらそれは、この文章の通りではないことを考えていると思われます。たとえば「閉鎖」であるとか、「これができたら強くなるらしい」と考えるだけでも、声は悪くなります。そのことはあなたも良く知っていると思います。苦しそうに声を出しているときに何を考えていますか?

「強い、強くない」というのは「結果」であり、ボイストレーニングの際に必要なのは「方法」です。そして「方法」は、もう知っているのです。あとは、そのときそれをあなたが実践しようとするかしないか、それだけです。

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