ボイストレーニングの無料相談に寄せられたお悩みへの回答です。
今回は、「声が通らない」というお悩みについて扱います。
なお、無料相談はお問い合わせより受け付けています。
Q,通りの悪い声で困っています
初めまして。声の通りが悪くて悩んでいる男(20)です。
具体的に言うと私の声は、普段から大きい方なのですが、ゲーセンや人混みなどの煩い場所では途端にこもってしまいます(パワーの無いような高い声になります)。
息が散らばっているのと、胸から上に声が響いていないのが原因だと思って日々鼻腔共鳴や、頭に声を響かせるトレーニングをやっています。
比較的、ハミング、高い声、歌うような大きい声での発声練習をするときは鼻や頭に声が響いているのは実感できますが、普段話すくらいの大きさ、高さの声では、声の響きを全く感じられません。小さい声で頭や鼻での声の共鳴(倍音を出す)を練習するにはどうすればどうすればよいでしょうか!
それと声を一点に集めるトレーニングとして口笛を吹くのは有効ですか?
A,共鳴ではなく発声で解決します
まず、「人混みなど騒音のある場所で、声がこもってしまう」、そしてそれを解決するために「鼻腔、および頭部共鳴の練習を行っている」が、うまくできないので「小さい声での共鳴方法の練習をしたい」ということでお間違いないでしょうか?
だとすれば、この場合、特に頭部共鳴や鼻腔共鳴を意識しても成果は得られませんので、異なったお話をします。
以下は解説です。
声において、ざっくり分けるとすれば「発声」と「共鳴」というように考えてもよろしいでしょう。
音を作るということと、それを増幅するという事です。
たとえばアコースティックギターの場合、弦を鳴らすとボディに響きます。
しかしあなたの場合「息が散らばっている」という自覚症状があります。これは発声においては弱声と思われます。
ギターですと「弦を押さえる動き(左手です)」ができていないと、弾いても弦が振動することができず、音が鳴りません。(いわゆるミュート)
しっかりとした音が鳴らないのですから、「アコースティックギター」だからボディに響く、「エレキギター」だからアンプがないと響かないということではないのです。
要するに「共鳴」ではなく「発声」です。
まず、きちんと音を作るようにボイストレーニングをするべきです。
補足
あなたは声が大きいということですから、推測しますと上背があり、恐らく体格も良いと思われます。
もし仮にそうであれば、高音域の発声はやや苦手ではないかと考えますが、もしかすると歌、もしくはスポーツかなにかである程度高音を使っているかもしれません。
それが正しいかどうかにしろ、騒音のある場所でということですから、通常の話声よりも高い音域と考えられます。
(人間は生理的に聞き取り易い声を選択しようとします)
そして、そこで「息が散らばる」感覚があるのですから、中高音域にかけての発声効率が低いのでしょう。
解決を一言でお伝えすれば、「息が散らばらないようにして下さい」となります。
意地悪な言い方ですが、下記で理解ができるなら確認してみて下さい。
出しやすい声で「アー」といってみて下さい。この時「かすれていない」と感じるのであれば、息がとまっているような感覚があるかを確認して下さい。
もしとまっていると感じるのであれば、正しいです。それを出したい音と交互に練習して下さい。そこで止まっている感覚になれば良いです。
※この時、のどが苦しい、痛いなどは全て間違いです。そういった症状がある場合は、出せる中で最小の音量で練習すれば解決します。
※或いは、とまっている感覚がよくわからないということでしたら、ため息をついて下さい。それが、真逆のかすれるということです。
補足2
なお、複合的に他の要因も推察されます。
共鳴というよりは開口の仕方です。そもそも力みすぎているかもしれません。
全く違う要因で言えば、「単純に周りがうるさすぎて通らない」「周波数が近い」「聞こえ方の問題」「そもそも普段から声が強くない」などというものも考えられます。
結論としていえば、短期で成果を出すなら「口の形を整える」、基礎からしっかり改善するなら「発声練習」となります。
いずれにしましても、発声練習をしない限り、根本では解決しません。
口笛は効果的?
全く効果がないと思われます。
口笛で影響のあると思われる効果は、呼吸の持続性の向上、及び表情筋の強化です。
(余談ですが、口笛を鳴らせない人の大半は舌に原因がありますが、鳴るからといって特に訓練にはなりません)
どうしてもといえば、トレーナーがいれば良い発声のイメージの習得に使えないこともないでしょう。
しかし、それをするなら発声したほうが早く、効率的です。
共鳴というものはあなたの段階でそれほど意識しなくても良いと考えますが、どうしてもハミングで共鳴を練習したいということであれば、音量を小さくすれば解決します。
最小の声でやって下さい。