歌声にシャープさがないんです2

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ボイストレーニングの無料相談に寄せられたお悩みへの回答です。
「歌声にシャープさがないんです」というお悩みについての実際の練習方法を記載します。
※本記事は個人に対する回答として一部に個別性の強い内容を含みます

なお、無料相談はお問い合わせより受け付けています。

声がこもるのではない

さて、もう一度重要な点ですが、声がこもるというのは間違いです。「かすれて印象の薄い声」というのはありますが、「こもる声」というのはありません。
品のない話ではありますが、声帯から発っせられる原音はおならのような音であり、人はこれを加工することで整った声や言葉として用いています。

たとえば、日常みのまわりにあるもので、「こもる音」というのは思いつくでしょうか?



無理にあげるとすれば、歌を含めてお風呂で出す音は、浴室の外にいる人からはこもって聞こえるでしょう。
あるいは毛布で覆って手をたたけば、毛布の外の人にはこもってきこえます。もちろんサスペンスドラマのように口を覆って悲鳴をあげてもこもります。

お分かりでしょうが、発声そのものではありません。
加工における重要な段階である、発音によってこもるのです。もっといえば声の指向性を、口や舌などがさえぎるということです。上の例ではドアが、あるいは毛布が、手がさえぎることでこもらせているのです。
※浴室の例では同室者など、物理的な妨害の段階以前にいる者にはクリアにきこえる

つまり、こもりの解消においては発声練習はほぼ不要であり、直接の解決は直接の原因である「発音練習」なのです。

※なお、上記の解説は厳密にいえば語弊があるものの概ね解釈としては適当と考えられるため、詳細な理論は割愛する。

母音の練習方法

まず鏡を用意します。あとは自分の口や舌を見ながら発音練習をして下さい。

というところで終わってしまうと意地悪でしょう。しかし、忘れないで下さい。
鏡を見ることはとても大事で、声だけでは我々でしか判断できないことも、鏡をみるだけで誰でも即座に「おかしいな」と気づくはずです。
動作が正しいかはもちろん、かっこよく(かわいく)歌えているかな?とチェックすることも大切です。

あらためてこもりを取る練習方法

それでは実際の練習ですが、上記の内容において、母音練習は出しやすい地声で「ア」から始めるのが良いと考えます。
※下記は現代歌唱において一般的に好ましいと感じられやすい癖の少ない調整です

まず5つの母音を区別していくことを練習します。そのために、最も縦方向に高く開く「ア」の母音から開始します。
一般的に日常話声などのケースでは、「ア」の母音はそれほど開かなくても良いのですが、本件ではある程度高く開くと留意してください。
これの高さが低ければ、他の母音の高さの幅も狭くなり、区別が薄くなり不明瞭になります。

ある程度縦に開いた上で、拡声器に似た口の形を取るようにしてください。つまり外に向かって開くと言うことです。
たとえば、いわゆるあひる口の時の口唇の緊張感は若干これに近いといえます。
なお、下あごなどが力むと、下の歯が隠れて見えますので注意して下さい。

この状態で、上の前歯の裏側あたりに向かって声をだしていきます。わからなければうがいのときの声を浮かべてください。
ただしこのことは、完璧にできなくても「浮かべるだけで効果がある」と考えてもよいでしょう。
余裕があれば笑顔を浮かべてください。軟口蓋の形を整えるための手っ取り早い処置です。

さて、この時の舌の形はどうでしょうか?鏡でみると良いでしょう。
正しくは下あごの上にぺたっと寝そべっているもので、奥の方も含め平らにみえます。舌先は下の前歯に軽く触れる程度です。
押し当てる、もしくは引っ込みすぎるのはよくありません。また下の歯の上端よりも上に出る(位置が高い)状態も好ましくありません。
舌の奥が盛り上がっている場合は、いわゆる喉声の状態であり、過度の緊張があります。音色は堅く詰まってきこえるでしょう。

可能であればよいのですが、舌の形を意図的に整えるのはやや困難だと思われます。
なぜならそれは発声における緊張が要因としてあり、原因そのものは発声能力の未熟さという話に広がっていくからです。
その段階で形を整えようとするのは、新たな緊張を生むことに繋がりやすいと考えます。
うまくやれるのであればそれでいいですが、出来なくてもここは一つ、「適当にやればいいか」くらいの気軽さで、あまり固執しないほうが良いでしょう。

というところまで考えた頃には、また口唇がずずずっと下がってきているのではないでしょうか。
そのところを、繰り返しチェックして、一つずつ解消していって下さい。

そのほかの母音

ほかに4つの母音がありますが、まずは「ア」である程度の調音能力を身に着けることを推奨します。
母音はそれぞれの関係性がありますので、覚えてしまえば簡単です。

※便宜上「エイオウ」の順で説明します。

1、「エ」
まず、口のあけかたですが「ア」よりも縦幅が狭くなり、横幅がやや広くなります。
※「イ」よりは縦にたかく、横はせまい
ちょうど「ア」と「イ」の中間です。
舌の形も同様で、「イ」の舌よりも先端がややさがります。この状態で上の前歯の裏、歯茎のあたりに息を当てます。

この発音が不明瞭になるケースは、「ア」と口の形を変えないものです。つまり「ア」の口で舌だけをつかって「エ」といおうとするものです。日常会話のつもりで発音すると、そのような状態になります。
縦幅をアエイの順で狭めることを意識してください。
また、舌の形状はやや複雑ですので確認が必要です。

2、「イ」
あごが接近し、ほぼ上下の歯がくっつきそうになる程度の縦幅になります。左右にもある程度口角を引き、やや笑顔を作ります。
「アエイ」の中では、最も口が縦に狭く、最も横に広くなります。
※「ア」は最も縦に広く、横に狭い。「エ」は両者の中間
あごの可動に難があると唇が下の歯を隠しますが、これは注意してください。

舌先は下の歯に触れるかどうかの位置です。そしてそのやや後部が盛り上がり、硬口蓋に接近します。そのまま上の歯の歯茎に息があたることで「イ」の発音になります。

この発音が不明瞭なケースは、舌の形状が複雑なため、必要な緊張が得られず弛緩しすぎるものが多いです。
最初は口角を外、そして上方向に引くことで舌の可動を刺激します。なお、口腔の奥のほうは盛り上がりません。

3、「オ」
口の高さは「エ」と同等です。よく注意してください。横幅は「ア」よりも狭くなります。
舌は奥へ引かれ、口腔内の形状は縦に広くなります。よく卵型などいわれるものです。
息は、「アエイ」よりも後ろ、つまり軟口蓋と硬口蓋の合間あたりにあてます。

不明瞭になるケースは口をすぼめすぎて鼻の下が伸びるものです。
どちらかというと「オのよしあし」よりも、「ほかの母音にオが混ざる」ケースのほうが多いといえます。この場合は「舌を奥方向に引く」という要素の影響です。
特に、「アエイ」では注意してください。

4、「ウ」
「オ」から縦に狭くします。大体の場合は、「オ」から寄せるだけで正しくなります。

不明瞭になるケースは横幅が広すぎるものです。これは非常に多くみられるもので、ほぼ「イ」の形状をとってしまうケースもあります。

ガイダンス

これらの発音を、まずは日常的に練習することで、どんどん良い声に対する意識が高くなっていきます。
表情筋が弱いと口唇が震えます。まずはイとウを大きく交互にやるなどがお勧めです。
これは美容にも良い、フェイシャルエクササイズです。

次のページでは、リズムトレーニングを簡潔に扱います。

ボイストレーニングお悩み相談「歌声にシャープさがない」
発音練習の方法について
リズムでシャープさを出す

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